トランペット/重井吉彦さんしげい・よしひこ
1992年、鹿児島県出身。鹿児島南高、東京藝術大学器楽科卒業。第85回読売新聞社主催新人演奏会に出演。第10回済州ブラスコンペティション金管五重奏部門第1位。東京フィルハーモニー交響楽団を経て2022年より読売日本交響楽団トランペット奏者。「ぱんだウインドオーケストラ」「Menagerie Brass Quintet」「Brass Ensemble ZERO Tokyo」「BRAVI TROMBE‼」のメンバーとしても活動している
インタビュー
心引きつける多彩な音色
音楽は生活の一部。ふとした瞬間にリズムを取っていたり、いつの間にか指が動いてたり。もっといい演奏をするにはどうしたらいいかを無意識に考えています。
トランペットはクラシックにとどまらず、ジャズ、ポップス、ドラマ、映画音楽などさまざまなジャンルで活躍し、普段の何気ない生活の中でも特に耳にしやすい楽器。ファンファーレのように輝かしく華やかな音が出る一方、歌うようにつやがあり温かみのある音色も出せる。心をグッと引きつける多彩な音色が魅力です。
トランペットとの出合いは小学生時代に聞きに行った吹奏楽部の演奏会。キラキラしたかっこいい見た目、ホールに輝かしく響き渡る美しい音色─。すぐに心をつかまれ、小学4年生で吹奏楽部に入部し、トランペットを始めました。
当時は学校の先生になりたいという目標もあったのですが、中学、高校と吹奏楽を続けていく中で「もっとトランペットの勉強がしたい」と思い、その両方がかなう東京藝大に進みました。在学中は金管五重奏や学生オケなどで演奏する機会が多く、そこで知った「人と音を重ねる楽しさ」が今につながっています。
大学3年生の時から徐々にプロオケのエキストラとして呼んでいただけるようになり、今まで見たこともない景色の中でトランペットを吹くことができる喜びがオーケストラ入団への原動力となりました。
オーケストラで仕事をさせていただくようになってからは弘前や八戸を度々訪れていて、昨年からは青い海と森の音楽祭にも関わらせていただくなど青森には特別なご縁を感じます。学生時代は二つ下の学年に弘前市出身のトランペッターがいました。彼はずっと津軽なまりを貫いていますが青森と鹿児島はイントネーションが似ているんです。彼と話していると懐かしい感じがします。
青森の食文化も大好き。もっとも違いを感じるのはやはり魚でしょうか。身の締まりや脂の乗り方が最高すぎて、八戸の八食センターでいただいたマグロが忘れられません…。青森駅前の市場で食べたホタテの刺し身も絶品でした…。
地元鹿児島には霧島国際音楽祭があります。普段なかなか聴く機会のない国内外のプロ奏者たちの演奏を地元で聴くことができたのはありがたかったですし、演奏者として参加する立場になってからは年に一度編成される特別なオーケストラで演奏できることが非常に刺激的です。
音楽祭は関わる人全てがいつもと違う気持ちで音楽に触れることができる特別な機会です。県外への文化の発信、子どもたちにとっては音楽に触れるきっかけとなったり、地元への愛着も増したり─。挙げたらきりがないほど地域にとって良い影響ばかりです。
新たな音楽祭誕生の瞬間に立ち会えたことは演奏家としてとても幸せでした。ゼロから創り上げたとは思えないほど第1回から充実した内容で、この先どうなっていくのかがとても楽しみです。
私は11月6、8日の「オーケストラコンサート」と同7日の「ファミリーコンサート」に出演します。トランペット的には青森市出身の奏者・山川永太郎さんが演奏される「ハトと少年」をオススメします。トランペットという楽器をよく知らない方にも親しみやすい一曲となっています。
演奏家との距離が近いのもこの音楽祭の魅力の一つ。一流の音楽家たちが奏でる本気の響きを体感してほしいです。一緒に音楽祭を盛り上げましょう。
(まとめ・長谷川恵子)
作曲家はこんな人/ラヴェル
ラヴェルは、ドビュッシーと並ぶ近代フランス音楽の重要人物です。「管弦楽の魔術師」とも言われ、時計職人と称されるほど、無駄な音や偶然に頼った部分がほとんどありません。どの楽器がどこで何を鳴らしているか、その計算が極限まで行き届いているのです。
ラヴェルは、バロック時代の舞曲(クープランの墓など)や古典派の形式を好んで引用・模倣しました。しかしそれは単なる懐古趣味ではなく、「過去のスタイルを現代の鏡に映し出す」という極めて現代的なアプローチ(新古典主義の先駆け)でした。
また、ラヴェルの代表作のひとつである「ボレロ」は、メロディがずっと同じで、しかも途中で転調せず、ただオーケストラの楽器の組み合わせと音量だけで聴き手をトランス状態に追い込んでいく手法で書かれており、聴き手を徐々に洗脳していくような魔力を持った楽曲なのです。
晩年、「ピアノ協奏曲ト長調」や「ヴァイオリン・ソナタ」などでジャズを取り入れたこともラヴェルの作品の特筆すべき点です。クラシック音楽の最高峰にいながら、アメリカの黒人霊歌やジャズのブルーノート、ブルースの響きをいち早くキャッチし、自分の音楽に取り入れたセンスの良さは評価に値します。ラヴェルの和音の響きがなぜあんなに「都会的でスタイリッシュ」に聞こえるのかについて、「クラシックの伝統に、アメリカの新しい血(ジャズ)を絶妙な分量でブレンドしたからこそ」と分析する音楽学者もいます。
同じくフランスを代表する作曲家のドビュッシーとラヴェルを比べた場合、大きな違いは何でしょう。それは、ドビュッシーが機能和声の束縛から脱け出し、新しい空間を切り拓いたのに対し、ラヴェルは古典的なソナタ形式や厳格な和声の枠組みの中に身を置きながら、その内部でスリリングな実験(高度な半音階やモードを使用)を行ったことです。
ラヴェル作曲の有名な作品としておすすめしたいのが、「亡き王女のためのパヴァーヌ」や「ラ・ヴァルス」などがあります。みなさんも自分のお気に入りのラヴェルの一曲を探してみてくださいね。
(県吹奏楽連盟監修)




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