ファゴット/石井野乃香さんいしい・ののか
1995年、神奈川県出身。東京芸術大学音楽学部を卒業後、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団に入団。副首席ファゴット奏者を務めている。第1回日本ファゴットコンクール入賞、第25回コンセール・マロニエ入選。リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」、宮崎国際音楽祭などに出演。ティアラこうとうジュニアオーケストラ講師。関東のオーケストラプレーヤーで結成した女性のファゴットアンサンブルグループ「Bloom Bassoon Quartet」のメンバーでもある。
インタビュー
いつの間にかとりこに
芸術総監督の沖澤のどかさん(青森市出身)はとても気さくな方で、昨年の青い海と森の音楽祭のオーケストラコンサートのリハーサル時に「(のどかとののか)名前似てますよね!」と話しかけてくれました。音楽祭メンバーが本当にすてきな方ばかりで、その中で一緒に音楽ができることを幸せに感じます。
育ちは神奈川ですが、母の実家が山形にあり、私も生まれは山形。祖母やいとこに会うために山形はよく訪れていて、東北には親近感を持っています。昨年の音楽祭で初めて青森を訪れましたが、何だか懐かしい空気に感じました。
青森でタクシーに乗った際、運転手の方が「青森はどんどん人口が減ってさみしい。音楽祭で人がたくさん来るのがうれしい。今後も盛り上げて」と話していたことを覚えています。青森は食も自然も最高なので、この音楽祭が青森の魅力を知るきっかけとなってほしいです。
家族は私以外誰も楽器をやりませんが、私が幼稚園の時、先生がピアノを弾く姿を見て自らピアノを習いたいと言ったそうです。3歳でピアノを始めて音楽が好きになり、中学校では自然と吹奏楽部に入部しました。
全ての楽器を希望順に顧問の先生に提出した際、希望の上位にあったのは打楽器やクラリネットでした。当時はファゴットに全く興味がなく、たぶん第7希望くらいでした。だから、顧問の先生に「ファゴットをやりなさい」と言われて、めちゃくちゃ泣きました。ファゴットって何? 全然知らない、やりたくないって(苦笑)。
でもいざ始めてみたら何だか良い音がして。練習すればするほど吹けるようになるのも楽しくて、いつの間にかとりこに。それからオーケストラのCDやNHK交響楽団の音楽番組などを聴いて、将来はオーケストラでファゴットを吹きたいと思い、音楽科のある高校へ進学しました。
ファゴットはいろいろな役回りが出来るところが好きです。例えば、ベートーベンの「第九」第4楽章の天の声のように美しい対旋律、ショスタコービッチの交響曲第9番のソロの悲痛な叫び、チャイコフスキーの交響曲第4番での哀愁を帯びた響き…。あげたらきりがないですが、さまざまな作曲家がファゴットのためにすばらしい旋律を書いてくれています。
魅力はもちろん旋律だけでなく、オーケストラの「縁の下の力持ち」として楽曲の土台を支え、全体の響きに深い奥行きと安定感を与えます。通奏低音では他のバスとともに音楽の流れをつくり、ハーモニーをつくるときは木管楽器の要になる。本当にさまざまな役回りができるため、ファゴットはオーケストラでもっとも楽しい楽器ではないかと考えています。
聴きたい曲はその日の気分によりますが、寒くなるとプッチーニの「ラ・ボエーム」をよく聴きます。私にとってはクリスマスシーズンの定番です。後は、レイモン・ペイネの原作を映画化したイタリアのアニメーション「ペイネ 愛の世界旅行」の主題歌ですね。作曲はエンニオ・モリコーネで、美しく切ない旋律が心の琴線に触れます。
音楽は私自身、心の栄養にもなっていて、普段の生活で少しくらい嫌なことがあっても、音楽に集中している時は忘れることができる。音楽祭に来てくれる方たちにも「音楽っていいな」「明日からまた少し頑張れそう」など少しでも心にプラスになればうれしいです。そう願いつつ、今年のファミリーコンサートとオーケストラコンサートも愛を込めて演奏します。
(まとめ・長谷川恵子)
作曲家はこんな人/ブラームス
ブラームスはドイツで生まれ、バッハ、ベートーヴェンと並ぶ大作曲家としても知られ、ドイツ三大Bとも呼ばれています。バッハの対位法とベートーヴェンの主題展開を融合させ、たった一つの小さな動機から楽曲全体を構築する「展開的変容」がブラームスの音楽の特徴です。
ブラームスはバロック時代やルネサンス時代の音楽に対して抱いていた深い造詣に注目し、バッハやシュッツなどの古い楽譜を自ら校訂するほど「歴史家」でもありました。過去の遺産を整理し、自分の中に統合するという極めて知的な作業の上で、ブラームスの音楽が成り立っていたのでしょう。
ブラームスの音楽を聴く上での注目点は、リストやショパンの作品が高音でキラキラさせる音楽であるのに対し、ブラームスはピアノの鍵盤の真ん中あたり(中音域)にこれでもかと3度や6度の和音を詰め込んでいることではないでしょうか。
ブラームスはたくさんのジャンルの音楽を作曲し名曲を数多く残しています。交響曲の他に、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ五重奏曲、ドイツ・レクイエム、ハンガリー舞曲、ハイドンの主題による変奏曲、クラヴィーアシュトゥッケ(4つのピアノ小品集)、4つの厳粛な歌などがあります。
ブラームスの数多くの名曲の中から自分のお気に入りの1曲を探してみてはいかがでしょうか。
(県吹奏楽連盟監修)




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